「これからウェブサイトを英語化して、海外での顧客基盤の拡大を狙う。」
海外市場開拓のために、英語のウェブサイトが必要だということはほとんどの企業が理解しています。
しかし一方で、既存の日本語のウェブサイトを英語化すれば十分と考える企業がまだまだ多いと感じます。
「英語サイトの作成は翻訳業者に丸投げすればおしまいでは?」
「Google の自動翻訳で事足りるのでは?」
そう考えている企業もいるかもしれません。
インターネットビジネスの黎明期のように、ウェブサイトを作ればビジネスが成り立つ時代ではありません。直接的・間接的に関わらず、どんなビジネスにも競合は存在します。
しかも相手は海外。今まで御社の名前を聞いたことのないユーザを相手にすることが多くなります。つまり、ウェブサイトが顧客との初めの接点になります。ウェブサイトが顧客ニーズに合致していないものだと見向きもされずに終わってしまい、ビジネスチャンスを逃してしまいます。
ウェブサイトはデジタルマーケティング戦略の根幹をなします。
たとえ、どれだけ広告費を費やしてウェブサイトへの集客に力を入れても
誘導先のウェブサイトが顧客ニーズに合うものでなければビジネスには繋がりません。
広告費を使って、自社のネガティブな宣伝を行なっているようなものです。
そのため、ウェブサイト作りはとても重要です。
本記事では英語ウェブサイトを作成して、海外、特にアメリカ・カナダ(北米)での顧客獲得やビジネス拡大を狙う企業に向けて、確実に押さえて欲しいポイント10個をご紹介します。
北米を相手にデジタルマーケティングをしてきた自身の経験と、これまでインタビューしたアメリカ・カナダ進出の専門家・経験者の話をもとにポイントをリストアップしました。日本企業がよくやる失敗もカバーしておりますのでチェックしてください。
記事の最後には、これから英語ウェブサイトを作成する際に使える英語ナビゲーションとCTA (Call-to-Action)のテンプレートをまとめましたので、ぜひご利用ください。(※CTAとは何か?ついては記事後半にて紹介)
ちなみに、ウェブサイトは英語でも “Website”と言います。
日本語ではウェブサイトのことをホームページやHPと言うこともありますが、英語でHome Pageとはトップページのことを指します (例: https://denorm.jp/)。英語話者に依頼するときに誤用しないようにしてください。
では早速、ポイント10個をひとつひとつ見ていきましょう。
※英語ウェブサイトの構築、ウェブサイトの英語化の専門家をお探しの方はご相談ください。
まずはここから!アメリカ・カナダ向けの英語サイト作成前に押さえておきたいポイント10個
ここからは、アメリカ・カナダ向けのサイト英語化の際のポイントを10個、重要度が高いものから順にご紹介していきます。
1. 英語話者であれば誰でもokではない。アメリカ・カナダ英語話者を起用する
まずポイント1つ目は『アメリカ・カナダの英語に精通している人を起用する』ことです。
欲を言えば、アメリカ・カナダの中でもターゲットエリアに地理的にも文化的にも限りなく違い人に文章作成を依頼することが望ましいです。
その理由は同じ英語といっても国や地域によって使われる表現方法やボキャブラリーが異なるためです。
例えば、「私は〜だと考える」という表現一つとっても
アメリカ英語だと “I think _____”が一般的ですが、イギリス英語だと “I reckon ____ “という言い方をすることがあります。
他にも、物の呼び方がそもそも違うものがたくさん存在します。お互いの意思疎通が困難なケースもあるほどです。
参照: British English Vs American English: 24 Differences Illustrated
また、セールスコピーという面でも、アメリカのオーディエンスに刺さるコピー、イギリスのオーディエンスに刺さるコピーは異なります。
Generally, US-originated copy tends to be more salesy and ‘on the nose’ than British stuff and this reflects the clichéd idea that ‘Americans like to be sold to but Brits like to be persuaded’.
一般的にアメリカ用のコピー(セールスコピー)はイギリスのものよりも売込み色が強く表現が正確。これはよく言うアメリカ人は売り込まれるのが好きでイギリス人は説得されるのを好むことを表しているといえる。
参照: American English vs British English: what should your company use?
もし英語翻訳や英語の文法チェック、文章校正の外注コストをできる限り安く抑えたい場合、2019年時点で圧倒的に安いのはアフリカです。
ただし、上記で説明した通り、英語と言っても国によっても異なるためおすすめはしません。
英語的には正しい = ウェブサイトに載せてokとはならないからです。
この点に関しては、以前のボストンマーケティングパートナーズへのインタビューでも触れられました。
日本企業は製品の品質がいいから、ウェブサイトでは意味が通じればいいだろうと思っている方が多いですが、細かい部分のミスが買うか買わないかに影響することを理解しなければいけませんね。
「英語ネイティブに訳してもらったから安心」ではなく、アメリカをターゲットするのであればアメリカ英語、カナダをターゲットするのであればカナダ英語に精通している人を起用しましょう。
ちなみにカナダ英語は、アメリカ英語が90-95%、イギリス英語が5-10%程度混じったものと考えていただければいいと思います。アメリカでは色のことをColor、カナダではColourと書くなど、細かなスペルの違いや呼び方の違いはありますが、ほとんど同じと考えて問題ありません。
2. サイト作成前のデスクトップリサーチを行い現地の競合情報を知る
ポイント2つ目は『デスクトップリサーチを入念に行い現地の競合情報を事前に押さえておくこと』です。ここで言うデスクトップリサーチとは簡単にいえば、パソコン上でできるリサーチを指し、インターネットやパソコン上でできるデータ処理を駆使し、行うリサーチを指します。
当たり前ですが、日本とアメリカ・カナダでは競合の環境が異なります。
また、ウェブサイトへ集客をかけていく中で、どうしても競合との比較は避けられません。競合の情報を知らずにサイト作成を行うと、見当違いの訴求方法をしてしまったり、
本来押さえておかないといけない情報を見逃すリスクがあります。
アメリカ・カナダの状況を知るために、有効なのはデスクトップリサーチです。
ウェブサイトの戦略を練る際、デスクトップリサーチで得られる競合情報は豊富にあります。まずは類似サービス・商品を調べて、どこに需給ギャップが存在し、いかに差別化を図ることができるかのヒントを探すことができます。
またデスクトップリサーチを通して、業界内で影響力のある媒体を発見したり、よく使われるキーワードの発掘をすることにも繋がります。例えば、リサイクル家電を英語にすると、”recycled electronics” ではなく “refurbished electronics”と言います。こういう英語の変換エラーもデスクトップリサーチを通して未然に防ぐことができます。
これらの情報はウェブサイト制作後の広告戦略やコミュニケーション戦略にも生かすことができます。
Social Mediaや3rd Partyツールなどデスクトップリサーチの手法は様々ですが、無料かつ最も有効なのはGoogle検索です。
ただし、日本から検索をかけると、日本のGoogleの検索結果が表示されてしまい、アメリカ・カナダのローカルの情報を取得できませんので、SERPsのGoogle Location Changerなど、検索ロケーションを変更できるツールを使用すれば、無料かつ、ローカルに限りなく近い情報を取得できます。
参照: SERPs
3. ブランド認知ゼロ前提でウェブサイトコミュニケーションの設計を行う
ポイント3つ目は、『現地での認知ゼロの前提でウェブサイトのコミュニケーションを考える』です。
ニッチな業界で高いシェアを誇る会社でなければアメリカ・カナダでは名前すら知られていないと考えるべきで、その前提でウェブサイト上でのコミュニケーションの設計をする必要があります。
これはウェブサイトだけに限らず、あらゆるマーケティングコミュニケーションの活動に対して言えることです。
消費財の業界でアメリカ・カナダでも周知されているブランドといえば、UniqloもしくはMujiくらいです。北米で強いシェアを持っているSAPPOROも名前は知られていますが、韓国の企業だと思っている人もいれば、そもそも、SAPPOROは日本酒のブランドだと誤解している人もいます。
日本では誰もが知っている伊藤園のアメリカ進出の立役者である角野さんへインタビューした時にお伺いしましたが、角野さんがニューヨーク・サンフランシスコで営業をされていた時は、全く認知度がなく苦労されたそうです。
認知度の低さがどのようにウェブサイトのコミュニケーションに影響を与えるかというと、現地市場への参入初期は『プロダクト認知』よりも『ブランド認知』に重点を置く必要があるという点です。
日本市場で一定年数、企業活動を行なってきた企業の場合、
これまで培ってきた会社のブランド力がプロダクトやサービスの売上を後押ししていました。
そのため新しくプロダクトをローンチするときでも、わざわざブランドの説明からやり直す必要がなく、プロダクトに関する訴求だけで、ある程度反響を得ることができていました。それは多かれ少なかれブランド認知がある前提だったからです。
しかし、これからアメリカ・カナダ市場を相手にする際、全く新しいプレイヤーとして戦っていかなければならず、「誰?」というところからスタートしなくてはいけません。
また比較対象となる競合は現地でのブランド力の積立がある状態なので、不利な状況からのスタートとなります。
これらを踏まえて、ウェブサイトではプロダクトやサービスの魅力を訴求するだけでなく、いかにブランドをうまく訴求していくかが重要になります。
4. 歴史の長さよりもストーリーを語る
ポイント3つ目でブランド訴求の重要性を紹介しましたが、その答えがポイント4つ目の『歴史の長さよりもストーリーを語る』です。
ストーリーを語ることの重要性は、これまでインタビューしてきた人からもアメリカ・カナダ進出時の重要な要件として頻出しました。いくら品質が良くてもストーリーがないと売れないという方がいるほど、重要な要素です。
ストーリーを語ることを英語で Storytelling (ストーリーテリング) と言い、TEDをはじめ、その重要性やノウハウは各方面で語られています。
特に現代はデジタル広告、インターネットのコンテンツなど人間が1日に触れる情報量が圧倒的に多く、一度見たものもすぐ忘れ去られてしまいます。しかし人間の脳はストーリー調で語られたものは忘れず、記憶することができます。
以下ではHarvard Business Publishingの記事の一説をご紹介します。
Organizational psychologist Peg Neuhauser found that learning which stems from a well-told story is remembered more accurately, and for far longer, than learning derived from facts and figures. Similarly, psychologist Jerome Bruner’s research suggest that facts are 20 times more likely to be remembered if they’re part of a story.
Organizational psychologist (組織の心理学者)、Peg Neuhauserによると、うまくまとまったストーリーから学んだことは、事実や数字から学んだ事より正確かつ長期間記憶される。心理学者、Jerome Brunerのリサーチによると、ストーリーに組み込まれた事がらは20倍以上記憶される傾向にある。
参照: What Makes Storytelling So Effective For Learning?
では、このストーリーをウェブサイト上に組み込む際に、最適なページはどこか?それはAbout Usのページ。
About Usは日本でいうところの会社概要や会社案内にあたります。
日本語サイトでは、会社の沿革や歴史、従業員数、会社の住所などを記載しているところが多いですが、アメリカ・カナダでは会社・サービス・プロダクトへかける思い、アプローチ、ストーリー、コミットメント、専門性などを記載することが一般的です。
日本のサイトのように会社の沿革をただ列挙しているウェブサイトは見たことがありません。
また、日本のサイトでは「創業___年」など、歴史の長さを訴求しているところを見かけますが、アメリカ・カナダでは会社やプロダクトの歴史が長い = 価値があるという見方を必ずしもしてくれません。
歴史の長さ自体を強調するのではなく、歴史の長さをストーリーに組み込んで現地のユーザに響く方法で訴求するようにしましょう。
5. 細かな注意事項でウェブサイトを埋め尽くさない
ここからはデザイン的な話をご紹介していきます。
ポイント5つ目は『細かな注意事項でウェブサイトを埋め尽くさない』です。
特に、問い合わせや資料請求を獲得する目的のウェブサイト、いわゆるリードジェネレーション目的のウェブサイトの場合、細かな注意事項をいたるところに敷き詰める必要はありません。
そもそも、そういう細かな注意事項は読まれないので意味がない + 細かな注意事項を入れることで、ウェブサイトのデザインがごちゃごちゃした印象になってしまいマイナスでしかありません。法的に抵触するもの以外は極力、省くことをおすすめします。
全てウェブサイトで説明しようとしても、結局読まれません。
こう言う背景にはアメリカ・カナダの「とにかく迷っているくらいだったら問い合わせをしてみようという姿勢」があるからです。
以前に個人のはてなブログにて、英語でリスティング広告運用したらコンバージョン率10%はあながち間違っていなかったという話をご紹介しました。そこで、ウェブサイトの訪問数に対する問い合わせの率 (コンバージョン率)が日本と比べて異様に高いことに触れました。
しかし、蓋を開けてみると、問い合わせは発生するものの中々そのあとの商談・契約に結びつかないことが多く、問い合わせしてきたのにその直後に音信不通になるケース、ちゃんと調べてからまた連絡するというケースなどを目にしました。
日本のユーザのように、調べ尽くしてから問い合わせしたというよりは、とにかく気になるから問い合わせしてみようというスタンスがあるのだろうと感じました。
もちろん上記はあくまで一例ですが、細かな注意事項をウェブサイトに載せてしまうのではなく、問い合わせが発生した後に説明するなど、段階的なコミュニケーションの設計が必要です。
6. 一箇所に情報を詰め込まない
ポイント6つ目は「一箇所に情報を詰め込まない」です。
これはウェブサイトだけではなく、日本の雑誌、チラシを見てみると、限られたスペースに色んな種類の情報が詰め込まれているケースをよく見ます。
それが単なる背景の装飾や写真、商品のセールスコピーであったり、高級感を出すための質感など色んな情報が所狭しと飾られています。そうすることで、ある種の賑やかさを演出しているものもあります。
日本で生活していると、それが当たり前になり、逆にシンプルすぎるデザインをみると物足りなさや情報量の少なさに違和感を感じる事すらあります。
しかし、北米、特にアメリカのユーザを相手にするときには情報を整理し、シンプルにまとめるべきです。
デザインはシンプルでないといけません。アメリカ人は日本人のように一度に大量の情報を処理するようにできていません。例えば、限られたスペースに大量の情報を詰め込んでいるウェブサイトを見かけますが、アメリカ人はその量の情報をうまく処理できず、圧倒され、パニックを起こします。
参照: 元Razorfishクリエイティブディレクターに聞く、日本とブランディングの話 Pt.2
これは世界最大級のデジタルエージェンシー Razorfishの元クリエイティブディレクターにインタビューしたときの言葉です。日本とアメリカのデザインに優劣はないが、アメリカ人をターゲットするときにはアメリカ人に刺さるやり方を考えるべきという風にも言っていました。
色んなものを後から付け足していくプロセスを揶揄した動画があります。もし、MicrosoftがAppleのIpodをリデザインしたらどうなるか?というビデオで、情報の量をコントロールしないとこうなるという教訓が学べるのでぜひチェックしてください。
7. ただし、説得に必要な情報をStep by Stepでしっかり提示する
では情報量を絞って、要点を絞ってシンプルにすれば良い・・・というわけではありません。
ウェブサイトの目的は読了してもらうことではなく、商品の購入や、問い合わせなど、次に繋がる行動を促すことが目的です。そのためには潜在顧客を説得できるだけの情報が必要になります。
3つ目のポイントで説明した通り、北米市場では全く新しいプレイヤーとして戦っていかなければならず、「誰?」というところからスタートしなくてはいけません。
提供するプロダクト・サービスで十分な差別化ができれば良いですが、競合ウェブサイトと同様に情報量を絞って同化してしまうと潜在顧客獲得は難しくなります。
特にB2Bの業態では、提供する情報の質と共に、ある程度の量が求められるケースがあります。
実際に、B2Bの業態でランディングページのA/Bテストを行った時、デザインがシンプルで情報量もミニマム、さらにクリエイティブな動きがあるB案より、情報がしっかり入っているA案の方が圧倒的に問い合わせに結びついたことがありました。
情報の量を出す際に重要なのは情報をしっかり整理して順番に提示していくこと。
一つの画面に、無作為に情報をあれもこれも押し込むのではなく、Step by Stepで情報を出していくことでユーザを混乱させることなく、順序立てて説得していく必要があります。
以下、イメージを掴んでもらうためにワイヤーフレームで例を示しました。
以下のワイヤフレームをみると、様々な種類の情報 (Services, About, Media Coverage, Contact)を一画面に詰め込んでいるのがわかります。
一画面に詰め込み過ぎている例
この画像だけをみると、全ての情報がコンパクトにまとまっているように感じますが、
まずどこに目線を配ればいいか迷ってしまいます。そして情報量が多過ぎて、一目見て、読む気がなくなってしまい離脱してしまうリスクもあります。
繰り返しになりますが、日本人の我々のように、じっくり腰を据えて画面を見つめることはほぼありません。
アメリカ人は日本人のように一度に大量の情報を処理するようにできていません。
参照: 元Razorfishクリエイティブディレクターに聞く、日本とブランディングの話 Pt.2
それを以下のように、コンテンツの種類ごとに分けてあげることで読みやすくなります。
順序立てて例
確かにページの長さが長くなりますが、順序立てて説明をすることで、一つ一つ情報を消化しやすくなります。
また、これはユーザがウェブサイトを読む時の ‘F-Pattern’という行動パターンに合致しています。
参照: F-Shaped Pattern of Reading on the Web: Misunderstood, But Still Relevant (Even on Mobile)
以下に、 ‘F-Pattern’についてわかりやすく説明してあるビデオを埋め込んでおきます。英語ですが、一度見ておくことをおすすめします。
8. 回りくどい受け身表現はNG。We & Youを使って相手に届く文章を
ポイント8つ目は『受け身表現を多用せず、WeとYouを使って文章をシンプルにして、伝わりやすい文章に変えること』です。
日本語のビジネス用のウェブサイトは受け身表現 (Passive Voice)型の表現が多く、「私」や「あなた」などの1人称・2人称が省略されることが多いです。
一方で、アメリカ・カナダのビジネスウェブサイトを見てみると、We, our, us, you, your を使用した能動態 (Active Voice)形式の文章を多用していることがわかります。Weを自社、Youをクライアントとして使用しています。
これはB2CやB2Bなど業界に関わらず、同じことが言えます。
実際に私がこれまで関わってきた、B2G (ビジネス to ガバメント)のコンサルタント、弁護士、大学など、割と堅めのプロジェクトでも同様のことが言えました。
その理由は、主語を明確にした能動態の方がシンプルで読者が読みやすいためです。
受動態を多用すると、抽象的な文章になり、ユーザが自分ごととして受け取りづらく、またワード数が増えてごちゃごちゃした印象を与えてしまいます。
受け身表現をいかに能動態に変えていくかに関して、以前書いた 英語力ゼロ、記憶力もゼロの26歳 英語コミュニケーション実践の6つのコツの一節をご紹介します。
例えば、日本語の受け身的な表現をそのまま英語にすると「Our service is designed to make a sales process more productive.(私たちのサービスはプロセスをもっと生産的にするようにデザインされています。)」となります。これを北米的にいうと「We make your sales process more productive.(我々が貴社のセールスプロセスをもっと生産的にします。)」のようにダイレクトです。
こちらの The Importance of Active Voice in Content (英語)にWe, youを使った能動態型の文章の方が良い理由がうまくまとまっているので、チェックしてみてください。
9. 日本で流行っている漫画風のイラスト・キャラクターは使用しない
ポイント9つ目は『日本で流行っている漫画風のイラスト・キャラクターは使用しない』です。
日本ではイラストやアニメのキャラクター調の画像は親しみやすさを感じるので企業のウェブサイトでもよく使用されています。特にブログなどのコンテンツに、感情を表現するための手段としてよく使われているのをよく見かけます。
日本で生活していると、TVや雑誌、つり革広告に至るまで、イラストやキャラクターを目にする機会が多く、ウェブサイトでキャラクターを使用していても特に違和感を感じません。
しかし、アメリカ・カナダではそれは一般的ではなく、ウェブサイトにいきなり使用していると違和感を感じます。イラストやキャラクターが突然出てくると、そちらに意識がいってしまい肝心の中身に集中できなくなってしまいます。
もしイラスト・キャラクターを使用する場合は、設定や前振りが必要です。
例えば、以前私が書いた SEO Basics: Best Practices for Keywords Targeting という英語ブログにイラストを起用したことがありました。内容はSEOという一般の人にはわかりにくい概念を、比喩表現を使いうまく噛み砕いたコンテンツです。
参照: SEO Basics: Best Practices for Keywords Targeting
結果、このコンテンツはLinkedInグループで反響があり、このコンテンツ単体からトラフィック: 10,000+ Sessions、グループ内でのライク: 454 Likes、コメント: 94 Commentsを獲得し、ポストのシェアは324件、資料ダウンロードは100件以上という成果がでました。
このコンテンツが成功した要因に、あえてSEOという分野と馴染みのないイラストを使用してわかり辛いコンセプトを説明したところにあります。
こういった戦略なしに突然、キャラクターやイラストを使用することはおすすめしません。
10. ウェブサイトのドメインをシンプルかつ口で言いやすいものを
ポイント10個目は「ウェブサイトのドメインをシンプルにすること」です。
アメリカ・カナダなどネイティブの英語話者は、ウェブサイトを調べる際に直接ドメインをタイプすることが多く、まずは企業名に.comを付けて調べるのが一般的という印象を受けました。
日本人の感覚として、ドメイン名を直接タイプしてウェブサイトにアクセスするという行動をとったことがなかったのでとても驚きました。サイト名を送ってもらってコピペするか、Googleで検索してサイトにアクセスするのが基本でした。
また「サイト名は?」と聞かれた時に口頭で伝えたり、PodcastやラジオなどでスポンサーのウェブサイトのURLを直接読み上げているケースもよくあります。
以上から、声に出して読み上げた時に誤解されにくい文字列を使って、シンプルなドメイン名を選ぶことをおすすめします。
例えば数字の”Five”の場合、”5”なのか”Five”なのかわかりづらい、ワードの区切りとして”-”や”_”を使うと読み上げる時に言い辛い、または数字と同じように”dash”なのか”-”わかりづらいという状況になります。
そのため例えば、Nomura Marketingという会社名の場合はシンプルにnomuramarketing.comのドメインを選ぶのが一番理想的です。
英語サイト作成前に押さえるべきポイント10個はここまでとなります。
次以降は実際にサイト制作時に使えるナビゲーションとCTAのテンプレートをご紹介していきます。
サイト英語化に使えるナビゲーションとCTAテンプレート31選
本記事の最後に、サイトを英語化する時に使えるナビゲーションとCTA (Call-to-Action)のテンプレートをご紹介します。
CTA (Call-to-Action)とはサイト訪問者に次のアクションを促す時に使用されるもので、例えば「まずは無料相談」や「詳しくは特設ページで」などがこれに該当します。
ウェブサイトを英語化するときに、実際に使えるテンプレートをまとめましたのでご利用ください。
サイトに使えるナビゲーション英語表現16選
以下では英語ウェブサイトに使える、ナビゲーションの英語表記をご紹介していきます。
日本語表記 | 英語表記 |
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ナビゲーションに関して補足すると、全て大文字 (例: CASE STUDIES) にするか文字の初めのみを大文字にする (例: Case Studies)かサイトによって分かれます。
使えるCTA (Call-to-Action)ボタンリスト10選 + 5つの文章例
英語サイトを作る上で、ナビゲーションと同じ、もしくはそれ以上に重要なのが CTA (Call-to-Action)です。
先ほど簡単に触れた通り、CTA とはサイト訪問者に次のアクションを促す時に使用されるもので、CTAがないとサイト訪問者が次にとるアクションがわからず、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまいかねません。
頻出のCTAのリストは以下になります。
日本語表記 | 英語表現 (ボタンの文言) |
詳しく見る | Learn more / Read more / Find out more |
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カートに入れる | Add to cart |
ボタンに入れる文字数には制限があり、訴求できる内容に限界がありますが
その前後に文章を追加できる場合は必ず、アクションをとることによるメリットをしっかり訴求しましょう。
以下ではその例を5つご紹介します。
- 事例ページに誘導する場合
Learn more about how we achieved ____(成功事例、).
(日本語訳) 私たちがどのようにして、____を達成したかを見る
- 会員登録を促す場合 (その1)
Sign up to get access to all of our exclusive content.
(日本語訳) 会員登録して全ての非公開コンテンツにアクセスする
- 会員登録を促す場合 (その2)
Register for our membership program to get 15% off your next purchase
(日本語訳) 会員プログラムに登録して、次回購入時に15% offのディスカウントをうける。
- ニュースレターへの登録を促す場合 (その1)
Sign up for our newsletter to stay up to date with _____(業界) trends.
(日本語訳) ニュースレターに登録して、___(業界名)の最新トレンドの受け取る
- ニュースレターへの登録を促す場合 (その2)
Join our email list to get notified about our monthly giveaway campaigns.
(日本語訳) ニュースレターに登録して、毎月の商品プレゼントキャンペーンの通知を受ける
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ウェブサイトの英語化は簡単なようで実は奥が深いです。
冒頭でお話したように、アメリカ・カナダなど国土が広い国をターゲットしていく際に、デジタルマーケティングを活用することはとても重要です。デジタルマーケティングの根幹を成すウェブサイト作りは特に重要です。
今回の記事を参考に効果的な英語ウェブサイトを作って、アメリカ・カナダ進出成功の手助けになれば幸いです。
質問があれば、問い合わせフォームからご連絡ください。
[参照]本記事で紹介した英語ウェブサイトに関する英語記事:
1. British English Vs American English: 24 Differences Illustrated
2. TED Storytelling
3. What Makes Storytelling So Effective For Learning?
4. F-Shaped Pattern of Reading on the Web: Misunderstood, But Still Relevant (Even on Mobile)
5. The Importance of Active Voice in Content
6. SEO Basics: Best Practices for Keywords Targeting
Header Photo by
bonneval sebastien