なぜアメリカ・カナダ進出の際は新規でサイト構築を行うべきか?[新規構築 vs. 既存利用]

記事の目次

今回はThe Touch-Base Podcast Episode 2。「なぜアメリカ・カナダ進出の際は新規でサイト構築を行うべきか?」についてご紹介。
制作コストの削減やBrand Governanceの統制のやり易さを考えると、既存サイトに新たにディレクトリもしくはサブドメインを使ってアメリカ・カナダ向けのセクションを作った方が良いように感じます。しかし、これまで日本企業のアメリカ進出企業のデジタルマーケティングをサポートをしてきて気づいたのは新規でサイト構築を行った方が成功確率が高いということ。今回はその理由を解説しました。

トランスクリプト

みなさんこんにちわ。
ホストの野村です。

前回のPodcastのEpisodeにて、Letter Casingの話を取り上げましたが
文字の問題を音声で伝えるのは少し無理があるのでは?というフィードバックをいただきました。

本当にその通りで、言われるまで全く気づきませんでした笑。フィードバックありがとうございます。文字で情報を取りたいという方は、一応、ウェブサイト、Touch-Base.netにてトランスクリプトを公開していますのでそちらも併せてチェックしてください。

さて、今週は知り合いが登壇するということで、大きなフォーラム2つ、Web担当者フォーラム2019とデジマさんがやっている海外Expoにお邪魔しました。

普段はずっと籠もって作業していることが多いので、今回のイベントは発見や出会いがあり、とても実りのある会となりました。

いつかこういう大きなイベントをやりたいと思う反面、海外進出と言った時に、ベトナムや中国などアジアでのニーズが圧倒的に多いのだと再認識しました。少しでも多くの方に、アメリカ・カナダに目を向けてもらえるよう、頑張らねばと再認識しました。

講演では、
– 世界観とビジネスを共存させるには?~noteのUX設計を決定づけたグロースモデルの考え方~
– 世界的な観光都市へ~京都市のWEB・インバウンド対応の取り組み~
– ゼロから始める動画広告!成功を導くオキテと活用法~設計から動画企画と制作、広告運用まで~
– 多言語サイト構築時によくある課題とは?~15,000以上の多言語サイト構築事例から学ぶ成功へのポイント
– 海外自社事業を37件立ち上げた実体験に基づく「7つの課題と対策」

を聞いてきました。気になる方はノートをシェアするのでご連絡ください。

では、本題の「新規構築 vs. 既存利用 – なぜ、アメリカ・カナダ進出の際は新規でサイト構築を行うべきか?」続けてどうぞ。

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「アメリカ進出が決まり、アメリカ向けのウェブサイトを作らないといけない」
「アメリカに市場ニーズがあるのかテストするために、ウェブサイトを作りたい」

このような背景でアメリカ・カナダ向けのウェブサイトを作りたいというニーズがあります。

アメリカ・カナダ向けのウェブサイトを作る際、大きく2つの選択肢があります。

1. アメリカ・カナダ向けのサイトを新規で立ち上げる
2. 既存サイトのドメインからぶら下げる (サブドメイン / サブディレクトリー)

おそらく、ほとんどの企業が#2の既存サイトのドメインを使って、アメリカ・カナダ用のページを作るのではないかと思います。

確かに制作コストの削減やBrand Governanceの統制を考えると、#2の方が魅力的にうつります。しかし、これまで日本企業のアメリカ進出をデジタルマーケティングでサポートをしてきて、#1の「新規でサイト構築を行う」方が成功に繋がると感じています。

今回は、「なぜアメリカ・カナダ進出時に新規サイトを立ち上げるべきか?」その理由を3つご紹介していきたいと思います。

まず、新規で立ち上げるパターンと既存サイトのドメインからぶら下げるパターン、それぞれのメリット・デメリットをまとめると以下になります。

新規で立ち上げるパターン 既存サイトにぶら下げるパターン
メリット
  • 既存サイトのクリエイティブに制限されず、アメリカの顧客向けにカスタマイズができる。
  • サイトのコンテンツを自由に編集しやすいので、A/Bテストや新たな施策をどんどん試すことができる。
  • 新規で立ち上げるパターンと比べて安価に収まることが多い
  • アメリカ・カナダ向けサイトも他の国と同じように一括管理できるので、Brand Governanceのマネジメントがやりやすい。
デメリット
  • 既存サイトにぶら下げるパターンと比べると費用高になるケースが多い。
  • Brand Governanceの統制がやりづらい。
  • アメリカページにて改修や新たな施策を試す際に、既存サイトへの影響を常に考えないといけないので、動きが遅く、やるべき施策をやるべきタイミングで実施できない。
  • 決裁のタイミングはアメリカ現地で何が起こっているか見えていない日本本社で行われることが多く、見えない機会損失が多発する。
  • 同じ単一の仕組みなので、それぞれの国の法律に準拠しないといけない。また、ヨーロッパのGDPRや、アメリカのカリフォルニア州のCCPAなど、デジタルプライバシー関連の法律が出るたびに、全社的に対応しないといけない。

冒頭でお伝えした通り、これらのメリット・デメリットを踏まえて、アメリカ・カナダ進出企業がとるべき選択肢は#1だと感じています。

特に、これからアメリカ・カナダに新規進出をし、デジタル広告やSocial Media、SEOを使ってウェブサイトを軸に市場開拓していくことを考えている場合は、新規でサイト構築することはほぼ必須です。

以下では、アメリカ・カナダ進出時に新規でサイトを作るべき主な理由をご紹介していきます。

1. ウェブサイトは常に変更を加え続けるので、自由に改善できる状況が大事

そもそもの考え方としてあるのは、ウェブサイトは「作ったら終わり」ではありません、むしろ「作って、やっとスタートラインに立つ」という考え方です。

ウェブサイトを作っても、誰にも知られていない商品やブランドは誰にも検索されません。
デジタル広告やSEO、Social Mediaの施策を行なって、ウェブサイトに集客をしていく必要があります。

そして、集客がうまく行っても、そのトラフィックから問い合わせや商談、売上につなげていく必要があります。

アメリカ・カナダ進出初期の段階は、どういう集客の方法が効果的で、何が現地の顧客に刺さって、どういうアプローチの仕方をとるべきかというのをテスト・検証を繰り返しながら、進めていきます。

その際に、当初存在していなかったキャンペーンページの追加、既存のページの内容・構成の変更など、状況に応じて柔軟かつスピーディに対応していくことが求められます。
これらのテストを通して、自社の勝ちパターンを見つけて、それを応用して横に広げていく、そして最終的に安定的にビジネスを生み出すサイトに育てるというのが流れになります。

既存サイトにぶら下げて、アメリカ・カナダ用のページを作ってしまうと、こういう細かな対応を一旦、日本の本社側に確認し、サイト全体への影響がないかをチェックする必要が出てくるなど、動きが遅くなるので大きな足かせになります。

もちろん、変更・更新が基本になるので、ウェブサイトを作る場合はWordpressなどの編集可能なCMSを導入することが前提となります。

また、アメリカ・カナダ用に新規サイトを作る際に、新規サイトの運営も現地の人間に裁量を渡すというのも重要なポイントです。

2. アメリカ・カナダと日本の刺さる見せ方は180度違う、日本サイトの型に制限されるべきでない

Uniqlo, Mujiのように既に業界内で認知度が高いケース、アメリカ・カナダで競合となる商材・サービスが全く存在せず、アメリカ・カナダユーザのニーズが顕在化しているケースを除いて、アメリカ現地の競合と比較されることが前提となります。

その際に「ウェブサイトでの見せ方」というのはとても重要になります。

日本では通用する、無料イラストやキャラクター物を使ったアプローチ、漫画を使ってビジネスを紹介するやり方はアメリカ・カナダでは通用しませんし、そもそも文字がデザイン要素の主体となっている日本のデザインとグラフィックやフィーリングが主体の北米のデザインでは、そもそも考え方が異なります。

また、北米といっても派手なグラフィックスやアニメーションが多い、西海岸とビジネス的な毛色が強い東海岸でもデザインの趣向は異なります。

そこで、無理に日本のサイトの型にはめてしまうと、クリエイティブが制限されてしまい理想的なウェブサイトを作るのが難しくなってしまいます。

3. 市場開拓の際は Brand GovernanceよりLocalizationにフォーカス

「新規サイト vs. 既存サイトの活用」の議論でよくあるのが、Brand Governanceの問題。

例えば、既に世界規模でブランドが認知されているような場合、ある程度のBrand Governanceによる統制が必要になるかもしれませんが、新規でアメリカ・カナダ市場を開拓していく場合、現地のニーズに合わせてLocalizationにフォーカスしていくことに優先すべきです。

アメリカ・カナダ進出の失敗を定義すると、ほとんどのケースで、売上が出ていない・顧客獲得がうまくいっていないことを指します。Brandの一貫性が損なわれていることが失敗と定義するケースは皆無といってもいいと思います。

また、そもそも日本とアメリカ・カナダでブランドに統一性を持たせることがそもそも良いのか?という議論もあります。

例えば、NYに進出している大戸屋を初め、日本の飲食店は日本では定食屋やファミレスというイメージで展開していますが、NYではデートスポットとして、高級感を出して展開しているなど、日本のブランドイメージと異なったアプローチをとっています。

これは、「日本食 = 高価」「安い日本食 = 本物の日本食ではない」というNew Yorker全体のイメージなど、様々なファクターを考慮しての決断だと思いますが、このように市場の成熟度や状況を見ながら、現地にあったブランドの構築が重要になります。

まとめ

今回は「なぜアメリカ・カナダ進出時には新規でサイト構築すべきか?」についてご紹介しました。いかがだったでしょうか?

次回は、「アメリカ向けの新規サイト構築にあたり、SEO視点でのサーバー・ドメインの選び方」についてご紹介をしていきたいと思います。

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